震災がきっかけで、二世帯同居をスタート

▶︎キッチンのシンクは漁師町暮らしが長かったお母様らしく「大きな魚が捌ける幅」をリクエスト

賃料を支払っても手元に資産が残らない賃貸暮らしに、勿体なさを感じていたというKさんご夫妻。そんな中、2011年3月の東日本大震災で、宮城県に住む奥様のお母様が被災。被災で住まいを無くしたことをきっかけに、お母様とKさんご夫妻3の同居がスタートしました

「内装や間取りの自由度の高さと予算の面から、家を買うなら中古マンションのリノベーションかな、という考えがありました。震災が起きて、実家が津波の被害に遭い、家は基礎を残して全て流されました。祖母は行方不明に、母は住む家を無くしました。突然のことでしたが、住む家のこと、被災地では仕事もすぐには見つかりにくいだろうと考えて、すぐに母を東京へ呼び寄せました」(奥様)

そうして震災が起きて間もない4月中旬、Kさんご夫妻はtotonoiの姉妹サイトであるEcoDecoへご連絡をくださいました。

「あの時は迷っている時間はありませんでした。実家のあった女川町では自治体が機能しておらず、給付金のことなども決まりきっていない時期でしたが、仮設住宅に一人で暮らす母のことを考えたら、いち早く動き出さないといけない、という思いが一番にありました。それに加えて物件探しや設計、ローンのことを全て自分たちで行うのは無理なので、中古マンションリノベーションをトータルにサポートしてくれるEcoDecoに相談したんです。自分たち夫婦と同年代の女性スタッフが多くて、何でも話しやすかったところもよかったです」(奥様)

前向きに暮らしを整えようとするK様ご夫妻の思いはお母様にも伝わり、共に手続きなどに奔走されたそうです。

「娘がそうやって前を向いて、私と一緒に住むための家を探してくれている。それがあったので、私は頑張れました。給付金を得るための手続きなどで東京と宮城を何度も行ったり来たりしましたが、苦になりませんでした。被災した家の住宅ローンを一括返済しなければならなかったり、被災者として腑に落ちないことはいくつもありましたけれど。こうして住む家のある私は幸運だと、今も思います」(お母様)

必要最低限のものと一緒に、「シンプルな暮らし」

▶︎お掃除が得意なお母様のお部屋は、壁一面を収納に。ほかには小さな棚を置いただけの、スッキリとした空間

震災をきっかけに、「身の回りのものがいきなり全て消えてしまうこともあり得るんだ」と、実感したというお母様。以前は沢山の好きなものに囲まれる暮らしを好んでいたというKさんご夫妻も、今では、必要最低限のものと一緒に、シンプルな暮らしを送ることに心地よさを感じているそう。

「実家が津波に遭ったことで、暮し方に対する考えが大きく変わりました。今は、物はなるだけ増やさないようにしています。実際、物が少なくなると心まですっきりとして、本当に気持ちが良いですよ」(奥様)

▶︎家族が集うリビングはテーブルを置かず、くつろぎの空間に。愛猫のうにちゃんのお家もあります

現在の住まいで初めて二世帯同居を始めたKさんご家族。2LDK。お母様は日々、掃除、洗濯、料理とあらゆる家事をこなし、「家政婦に向いているかも」と仰る程に家事を楽しんでいらっしゃいました。

「毎日家に帰ると、お義母さんがいて、美味しくて温かい食事が用意されている。家はピカピカに磨き上げられている。幸せを、強く感じます」(ご主人)

「私たち夫婦は共働きで、家事を100%はこなせていませんでした。新たに三人暮らしをスタートして、暮らしの質が格段に上がりました。賑やかな三人暮らしが、今とても楽しいです」(奥様)

▶︎玄関から寝室へ自転車を楽に持ち込めるような動線。簡単なメンテナンスもこの場で可能

二世帯の家族が心地よく暮らすためのリノベーション

▶︎第二のリビングとも言える寝室には、寝る/くつろぐ/語らう/遊ぶ/仕舞う/勉強するという沢山の機能がぶつかることなく、詰まっています

約76㎡のマンションでの二世帯同居。トイレや浴室などの水回りは一箇所ずつで、リビングもキッチンも共有ですが、プライバシーがしっかり保てるような間取りにすることで、快適な二世帯同居を実現しています。共有スペースであるLDKを囲むようにお母様とK様ご夫妻のお部屋をレイアウト。Kさんご夫妻のお部屋は元は二部屋だったものをつなげて広い一部屋にすることで、セカンドリビング的な場所として寛げる空間にしました。

「寝る前は、寝室のソファで夫婦二人で寛いで、いい時間を過ごしています」(奥様)

ペット(猫)も喜ぶリノベーション

▶︎洗面、トイレ、脱衣室は広々と1つの空間に。洗面台の下には猫用のトイレスペースがあります

Kさんご夫妻がリノベーション時に大切にしていたことはもうひとつ、猫の「うにちゃんが快適に暮せる家にしたい」ということ。家の中の各所には、猫が通れる抜け道を造作。扉を閉めたままでも、リビングからトイレやご夫婦の寝室を行き来するなど、うにちゃんが自由に動き回れる動線を確保しました。

「この家に連れて来たその日から、うには早速トイレの場所を憶えて、抜け道を使ってくれました。トイレの位置もきちんと計算に入れて設計して頂きました。私たちの希望通り、洗面所の足下の、目立たないところにネコトイレが設置されています。畳を傷つけないよう、母の部屋には入れないつくりにもしているんですよ」(奥様)

▶︎玄関と寝室を結ぶ抜け道。愛猫うにちゃんが、するすると自由に動ける抜け道は大活躍

リノベーションだから叶えられた、大好きな街での暮らし

▶︎寝室の一角には、ご主人のDJスペースや、奥様のワークスペースが設けられています

以前は中野で賃料約11万円、広さ40㎡のマンションに二人暮らしをしていたKさんご夫妻。現在の住まいはローンと管理費等の支払いを合わせて約12万円(※取材時)。以前の支払い金額と大差ない金額で、広さは二倍近い約76㎡という住まいを手に入れました。

「以前の狭かった家とほとんど変わらない支払い金額で、こんなに広くて、気持ちの良い家に住むことができています。人気のある中央線沿線では、広い家に住むのは無理だと思っていました。今こうして西荻窪に暮らしていることが夢みたいです」(奥様)

元々宮城県で暮らしていたお母様にとって、西荻窪は全く馴染みのない土地でしたが、毎月開かれる朝市や、個性的なお店が多く点在している街並みなど、暮らしながら街の楽しさを発見する日々が楽しいと話します。

取材中、「今の暮らしに感謝しています」と繰り返し話していたお母様。明るい赤色の割烹着を身にまとい、取材が終わると早速夕食の支度を始めるお姿は、とても幸せそうでした。