便利に、コンパクトに暮らすなら都心ライフ

これまでの人生、自分が生きたい場所を基準にして街選びをしてきた方は、どれだけいるのでしょう。子育て環境、職場への近さ、実家との距離…きっと多くの方が、必要に迫られた条件で選んできたのではないでしょうか。今回は、大人がこれからの人生をどう生きていきたいかを、暮らす場所視点で考える際のポイントについてお話します。

かつては「老後は田舎でスローライフ」が憧れの暮らしでしたが、最近は郊外から都心に住み替える大人世代が増えています。フットワークが軽い方にとっては、好きなお店があったり、美術館やカルチャースクールなど人生を豊かにしてくれるインプットの場が近くにある人生は理想的ですよね。

近い将来訪れる老後においても、車がなくても病院に通いやすく、移動距離が短い。都心は地価が高いので、自ずと部屋の広さもコンパクトになりますが、それは言い換えると掃除や手入れが行き届きやすいということ。そして更にこの先の人生の中で住み替え(子世帯との同居や施設への入居など)が起きたとき、都心なら買い手がつきやすく手放しやすいというメリットも。

一口に「都心ライフ」と言っても暮らし方はさまざま。totonoiの「大人のリノベ」から、2つの事例をご紹介します。

一つ目は、渋谷区のO様 。O様は、以前は東京郊外にある一軒家にご夫婦とお嬢様、そして2匹の犬と一緒に暮らしていました。ご夫婦共に都心に仕事を持ち、お嬢様が都内大学へ進学をするタイミングで一家全員でお引っ越し。利便性を考えて都心のヴィンテージマンションへ住み替えをしました。お住まいは69㎡ほどで、間取りはほぼワンルームですが、青山と表参道に隣接する外苑前なので、犬の散歩をしながらショッピングができたり、一人になりたいときは近所のカフェで過ごすなど、外にも居場所をつくることで心地よく仲良く暮らしていらっしゃいます。

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「愛犬と共に郊外から都心の ヴィンテージマンションへ」
(東京都渋谷区 O様)

二つ目は、世田谷のS様。S様は、以前は東京郊外の賃貸マンションにご夫婦で暮らしていました。これからも二人で暮らしていくことを考え、都心に近い世田谷で中古マンションを購入。当初は、青山などの憧れの地を検討していらっしゃったのですが、いざ内見に行くと騒音が気になってしまう。求めているものの中に「静かな環境」を加えたときに気づいたのは、「日常使いができるおしゃれなパン屋さんやケーキ屋さんがあれば、超都心である必要はない」ということ。結果的に選んだのは都心へのアクセスも良く、適度な自然環境もある落ち着いた大人向けの街でした。

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「ライブラリーのある家で過ごす 大人の時間」
(東京都世田谷区 S様)

のんびり地方暮らしは生活利便性にも配慮を

思い切って地方に移住しようという場合はどうでしょうか。
地方移住を考える時に検討したいポイントについてお話したいと思います。

「利便性と自然環境」

都心と比べて自然環境が豊かになる分、不便なところも出てくる地方での暮らし。健康で暮らしているぶんには、のんびりできていいなと思えそうですが、「いざというときに対応できる場所なのか」の見極めは大切です。具体的には、車を持たなくても生活ができるのか、徒歩圏内に日用品が買える場所があるか、病院や公共施設が充実しているか、暑さや寒さ、冬の降雪量はどうか(除雪の手間)については、大切にしたいポイントですね。

「生活の質の確保」

物価について考えてみましょう。都心は住む(賃料)にも食べる(食費)にもお金がかかります。地方に行けば賃料など住まいに関する費用が抑えられるぶん、同じ収入額でも生活の質を上げられます。意外と気をつけたいのは、食料品。流通の問題で、地元のお野菜は買いやすいけれど、他の地方の食材は高い、なんてこともあります。現地のスーパーに出向いて、品揃えや実勢価格をチェックしましょう。

「大人世代の受け入れ態勢はどうか」

地方自治体の多くは、働き手や子ども世代を求めて、若い20〜30代の世帯を呼び込む施策を行なっています。まだまだ元気な50代や60代で地方移住する場合、雇用についても気にしたいところ。住まい探しにおいても、(働いていない場合の)大人世代は契約がしづらいことも。大人世代がウエルカムな態勢になっている自治体かどうかを事前に調べてみましょう。

では、具体的におすすめの街はどこなのでしょう。

totonoiのグループ事業である『EcoDeco(エコデコ)』は東京と福岡に拠点を置いて、ワンストップリノベーションを展開しています。福岡県は、安定して地方移住者に人気があるエリアなので、福岡エリアの例をご紹介します。

まず挙げたいのは、積極的に大人世代の移住を推進している北九州市。二つ目は、若い子育て世代の移住も多い糸島市です。いずれも空港から在来線やバスで直通で35~40分程度の距離にあり、東京へのアクセスも良く、利便性を感じつつ自然環境もある、程よい住環境です。

北九州市は、全国の都市部と比較して家賃や物価が低いので、都心で暮らすより生活の質を上げられるというところも押さえておきたいポイントです。子世帯に頼らず、私たちは私たちで楽しむわね、というスタンスの自由な大人像が見えます。

糸島市は関東にとっての鎌倉のような街。海が近く、おしゃれな街として人気です。観光地としても発展してきていますし、空港アクセスも良いので、東京との二拠点ライフを楽しみつつ、使わない時は民泊物件として貸し出すということもできそうです。ちなみに、totonoiスタッフにも糸島と東京での二拠点ライフを熱望する人物がいます。

もともと老後の暮らし方として人気があった田舎暮らし。ウィズコロナ、アフターコロナの時代になり、若い世代も毎日都心へ通勤する必要がなくなり、地方への移住や郊外の戸建てが人気になってきています。老後と言わず、働き盛りのうちから、地方で暮らす可能性も見えてきます。

田舎と都市のいいところどりな「郊外」という選択も

大人世代の「郊外移住」について考えてみましょう。郊外でも最近は開発が進み、都心並みに利便性が高い上に物件価格は都心より手頃。という理由から、電車で都心まで1時間以内で行ける「ちょい郊外」なエリアを選択される方も多いんです。

郊外暮らしというと、広い戸建てをイメージされるかもしれませんが、実際は駅前の利便性の高いマンションが好まれる傾向にあります。やはり戸建てでネックになるのが建物の維持管理と、自分が亡くなったあとの整理です。マンションであれば、建物の維持管理は管理会社が行ってくれますし、遺品整理をするにしても少なく済みます。もちろん売却などの相続問題もクリアしやすいというメリットも。

そういったこともあり、郊外暮らしを検討する場合、大人世代に人気なのは駅前に商業施設がある街の駅前マンションです。とある私鉄沿線の駅前の新築マンションが分譲された際、相場より高めだったにも関わらず、駅まで信号を渡らずに行くことができ、百貨店に隣接しているという恵まれた立地と、マンション設備の良さが人気を集め、購入層の7割近くが近隣の戸建てから住み替えした50代以上の方だったと言います。郊外で大人が「これから」を暮らすなら、今住んでいる街からそう遠くない栄えた街の駅前マンションが向いているいえる好例です。また、住み慣れた街での住み替えなら、住まいや生活の利便性を上げながらご近所の友人とも会える距離、といった暮らし方を叶えることもできます。

子世帯と同じ街に住む「近居」スタイル

これまでは、自分だけ、もしくは夫婦だけの暮らしを前提としてお話しましたが、子世帯の近くで暮らすという「近居」と呼ばれる選択もあります。「近居」とはお互いの家を歩いて行き来できるような距離に暮らすことで、中でも同じマンションの中で近居するというスタイルが増えているんです。これからの人生、孫のお世話をしたり、いざというときに子世帯を頼りにしたい、という方もいらっしゃると思いますので、子世帯との近居についても考えてみましょう。

totonoiのcase studyでもご紹介しているA様(親)B様(娘)親子の暮らしは、同じ団地の中にある3戸の家を、親世帯が寝る家、子世帯が寝る家、みんなで集まる家として使い分けています。 長年住み慣れた街や団地にいながら、リノベーションで設備やインテリアを再編集。今とこれからの暮らしに合う住まいになりました。住む場所を変えずに子世帯の近くで新しい暮らし方をしていく団地内近居というスタイルです。

>casestudy
「親と娘で同じ団地内に住む。3つの家を使った二世帯ライフ」
(埼玉県 A様・B様)

まとめ

今回の「大人のリノベガイド」では、大人世代の「これから」の生き方を暮らす場所視点で考えてみました。さまざまな暮らしがあることが見えてきたと思います。totonoiの「大人のリノベ」では、首都圏と福岡県で物件選びから中古マンションリノベーションのコーディネートをしており、ライフスタイルに合わせた街選びのサポートをしています。住む街を考えるときは、これから「どんな暮らしがしたいか」から考えていくことが大切。わからないことや不安なことがある場合は、プロの意見やサポートを積極的に利用して、これからの暮らしを考えてみましょう。