会社員とヨガインストラクター、「二足の草鞋」で謳歌する日々

▷外資系電子機器メーカーの広報部に勤める大森さんは現在47歳。健康維持と趣味で始めたヨガ歴は約10年だそう

 

ー大森さんは会社員でありながら、ヨガインストラクターとしてもご活動なされているということで、どのように両立させているのですか?

もともとは自分が楽しむためにやっていて、ハワイでインストラクターの国際資格をとったのは、ハワイに長期滞在する大義名分がほしかったというのが理由でした。ハワイでの出会いがきっかけで2019年後半から研修を兼ねて軽井沢で週一回クラスを受け持ったのですが、大きな台風でしばらく新幹線が運休になったり、2020年になるとコロナの影響でレッスンが長期でお休みになったりして、なかなか定期的なレッスンができませんでした。本格的にインストラクターとして活動できるようになったのは、実はコロナがきっかけなんです。

私の会社は1回目の緊急事態宣言の時から完全リモートワークになったんです。そうしたら、私がヨガのインストラクターの資格を持っていることを知っている同僚から「在宅で運動機会が減るからヨガを教えてほしい」と声をかけられて、社員向けにオンラインでレッスンを始めました。参加した同僚からは、運動不足解消だけでなく、リモートワーク中でも社員同士のつながりを感じられて嬉しいと言ってもらえて、やってよかったと思いました。今は週2回のオンラインクラスと、軽井沢のスタジオでレッスンを行っています。

▷東京都港区にある大森さんのご自宅。ヴィンテージマンションの角部屋でたくさんの窓から注ぎます

 

ー週2回もレッスンを行なっているんですね! 会社のお仕事とはどのように兼ね合いをつけているのですか?

私が勤めている会社はもともと裁量制でフレックス制でもあるので、自宅で仕事をしながら時間になったらレッスンをして、とやっています。軽井沢のスタジオでのレッスンは夜と朝の時間帯なので、それ以外の時間は現地のシェアオフィスで仕事をしています。会社には副業申請をして許可をもらいました。上司がとても理解してくれて、だからこそ会社の仕事もしっかりやりたい。ヨガインストラクターの仕事は、本業の会社員としての仕事の励みにもなっています。

ースタジオからだけでなくご自宅からオンラインレッスンをすることもあるのですね。

この家に住む前は賃貸の1Kに住んでいて、そこでリモートワークやヨガをするのは無理だったでしょうね。今は外出しなくてもヨガができて、部屋から木々の緑が見えて、景色が開けていて。リモートワークが平常化してずっと家にで過ごすことになっても、「ずっと自宅にいるのが嫌だから出社する」なんて気持ちは、まったく起きませんでした。

 

「今の自分」を大切にすることを尊重して決めた住宅購入

▷マリメッコのファブリックのクッションはトートバックをリメイクしたもの。ウォールパネルも大森さんが自分でファブリックを貼ったそう

 

ーそもそも大森さんが「家を買おう」と思ったきっかけはなんだったのですか?

最初に「家を買いたい」と思ったのは35歳を過ぎた頃でした。親にも「買ったら?」とは度々言われていて、都内の会社に通える範囲のマンションなら、買ってもいいのかも、と思い始めたんです。totonoiの姉妹サイトであるEcoDecoに相談して、フルリノベーションを前提にいくつか物件を見たんですが、なかなか「コレ」と思える物件に出会えず、そのまま数年が経ってしまいました。その時はなんとなく物件探しを始めたこともあって、もしこの後結婚したり、子どもが生まれたりしたらどうなるんだろう、自分の暮らしが大きく変わる可能性があるかもしれないと考えたら、リノベーション前の部屋を見ても、どう変えたらいいかイメージが浮かばなかったんです。

ーその後、40代になって家を買われたわけですが、このマンションを選んだ理由は?

当時住んでいた家の隣のマンションが売りに出たことでした。長く住んで気に入っていた街だったので、「買おう!」と思ったら、一歩遅く他の方に買われてしまい…。でもそれで再び火がついて、EcoDecoにまた相談したんです。このエリアにした理由は実は風水の影響でした。その当時住んでいた場所からみて「こっちの方角に住むと良い」というアバウトなものだったんですけど。それでエリアを絞り込んでいくつか物件を見繕ってもらったんですが、内見する前に一度、街を歩いてみようと思ったんです。内見する建物の外観やエントランスの雰囲気を見ておきたいと思って。そうしたら、今の家がたまたまオープンルームをしていて。街の雰囲気も、マンションのエントランスも気に入って、すぐにEcoDecoに管理状況や修繕計画などをチェックしてもらい、優良物件だというお墨付きをいただけたので、予算はオーバーしていたんですがここに決めました。

▷北欧系の家具とグリーンが並ぶ大森邸。正面の電話台付きベンチは、アンティークマーケットで手に入れたそう

 

ー以前の家探しから現在の家を買うまでのあいだに、どのような心境の変化があったのですか?

前回は将来のイメージが不透明なことがネックになって購入に至りませんでしたが、この家を買う時は、将来の暮らしが変わる可能性よりも、「今の自分がどうしたいか」を大切に考えられるようになっていました。街が好きとか、お気に入りのインテリアに囲まれて住むとか、働いてお金を稼ぐこととか、「今の自分」が楽しく生きるためのモチベーションになる存在として、家を買おうと思いました。

ー大森さんはヨガ以外にも、釣りや華道など、とても多趣味だとお伺いしました。

以前は毎朝2時間、近所のスタジオにレッスンに行っていて、会社帰りはジムに行ったり、週末は釣りや旅行と、家には寝るためだけに帰ってきているようなものでした(笑)。こうして家で過ごす時間が増えた今、この家を買ってリノベーションしておいて良かったと、改めて思うようになりました。

▷現在はリビングの石壁の前がヨガスペース。石壁は有楽町にあった喫茶店「ストーン」も参考にしたそう

 

ーこのご自宅はどんなリノベーションを行なったのですか?

このマンションのエントランスが石貼りなのですが、そこがすごく気に入ったこともこの家を買った理由でした。同じようにしたくて、リビングの壁に石を貼ってもらいました。部屋自体はフルリフォーム済みで設備機器も新しくなっていました。もともとは3LDKだったのを、1部屋壁を取り払ってリビングを広くして、クローゼットを作ってもらいました。リビングダイニングの壁の一部は、DIYで赤く塗装しました。実はインテリアコーディネーターの資格も持っていて、本当はフルリノベーションしたかったんですが、その時は予算のこともあったので諦めました。

日当たりが良くて窓も多いので、植物がぐんぐん育つんです。その分夏は暑くて冬は寒かったんですが、ちょうどコロナが流行する直前に、当時実施されていた「次世代住宅ポイント」という補助金制度を使ってインナーサッシを取り付けたんです。二重窓になったことで夏の暑さと冬の寒さが変わり、音も静かになって、その後リモートワークの生活になったので、あの時やっておいて本当によかったです。

 

「家」は、変化し続ける自分に寄り添ってくれるパートナー

▷大森さんの住戸のまわりは隣接する建築物がなく見晴らし抜群。二重窓にしたことで快適性がアップしたそう

 

ーコロナ禍で釣りや旅行の機会は減ったとはいえ、会社員とヨガインストラクターのダブルワークをこなす大森さんのライフスタイルは、とてもアクティブです。

50代が間近になった今のほうが、いろんな生き方の可能性を感じています。今は、週に一回は軽井沢に行ってリモートワークをしながらヨガインストラクターの仕事をする生活。会社員を続けながらでも新しいことが始められるというのがわかりました。家で過ごす時間が増えた今は、追加のリノベーションをすることも妄想しています。今はこのリビングをオンラインレッスンの際の撮影場所にしていますが、壁を壊してリビングを広くして、家でヨガスタジオを開くこともできるかも。広さがあるので、そんなことも考えられます。そんなふうにいろいろなチャレンジを考えられるのも、この家があるからだと思っています。この家は、自分の人生の変化に連れ添ってくれるパートナーのような存在です。

▷真空管アンプやDIYしたペンダントライト、コレクションしている器やたくさんのグリーン。大森さんの家には「好き」が詰まっています

ーちなみに50代も間近になると、親の介護や同居なども将来の可能性に含まれてきますが、大森さんの場合はどうでしょうか?

今のところ私自身は、東京のこの家と軽井沢とを行き来する生活を考えていますが、私の父の地元が軽井沢の近くで、現在千葉に住んでいる親と将来は軽井沢に住むなんて可能性も考えています。若い時から住宅購入を唆されてきたこともあり、将来一緒に住むつもりなのかな? と思って、この家なら広さ的に大丈夫だと考えて買ったんですが、今のところ親にはそんなつもりは毛頭ないようです(笑)。私にちゃんと暮らせる家があるからか、親と子で、それぞれ自立した関係が保てていると思います。

ー大森さんとお話していると、50代になってもまだまだ新しい生き方を掴み取ることはできるという、希望を感じます。

そうですね。私自身、まだまだ「老後」というビジョンは持っていません。50代になっても今と変わらず、今の自分を積み重ねて楽しみたいですね。学びたいことを好きに学ぶのは50歳まで、とは思っています。そこからは、アウトプットする側にまわりたいんです。最近インストラクターの資格をとったメディカルヨガは、基礎医学や生理学、心理学のメソッドも取り入れた、高齢の方や障碍者の方でも無理なく体を使うことができるヨガ。もともとヨガは、歳をとっても続けられる運動として始めたものでした。資格を取ったのは、自分自身が学びたいという意識もありましたが、インストラクターとして人に教えることでその学びが深まり、その知識と体験をまわりにもシェアできる。そんなふうに、自分が積み上げてきたものを活かしながら暮らしていきたいと思っています。

▷転勤族の家庭に育ち、「だから新しい環境に飛び込むのに慣れてるの」と大森さん。大森さんの今後のチャレンジが楽しみです

text_佐藤可奈子
photo_totonoi編集部