ご近所ネットワークで物件探し

ー資金計画は順調だった一方、物件探しは難航されたとか?

奥様 娘の家から近い物件を1年近く探していましたね。

ご主人 いくつか候補はあったものの決め手がなくて。そんな時、娘が「地元の人に聞いたほうが、情報が早いかもしれない」と、手書きのチラシをご近所のポストに投函してくれたんです。

奥様 そうしたら「ここが空いていますよ」などとチラシを見て連絡をくださった方が何人もいて。その話を娘から聞いた時「あったかい人が多いんだな」と感激しましたね。それまで抱いていた冷たい東京のイメージが覆されました。

▶︎斜め向かいに住むお孫さんは、その日の遊び道具とパジャマを持参して遊びに来ます

 

ご主人 本当に親切な方が多くていい意味で田舎っぽいところのある町だと思います。ここも、前の住人の息子さんがチラシを見て連絡をくれました。

奥様 娘の家の斜向かいですからね。こんなに近い所に住めるとは思ってもいなくて本当にありがたかったです。二人の娘がいますが、一人はチラシを作って配ってくれて、もう一人は契約ごとの対応をしてくれて。それぞれが協力してくれてとても感謝しています。

ゆるやかにバリアフリーを意識

ーフルリノベをされたのですよね。

奥様 そうです。でも、階段はかけかえると数十万円かかってしまうので、そこだけ既存利用しました。

ご主人 2階の床の半分くらいは、引っ越し後自分で床材を貼りました。

ーえっ!DIYで床を貼ったのですか!?

▶︎壁・床・天井全てをDIYで仕上げた脱衣室兼洗濯室。開けたままにすることが多いので、扉ではなくカーテンで仕切りました

▶︎浴室の扉は「万が一中で倒れても外から助けられるよう」引き戸に

 

▶︎天窓からの自然光で明るい階段室。階段の踏み板はご主人がDIYで仕上げました

▶︎2Fの階段室にある洗面台は様々な組み合わせが可能なサンワカンパニーのもの。高さは奥様の身長に合わせました

 

ご主人 階段と2階はそうですね。壁は漆喰を塗りました。北海道では、自分で車の塗装をしたり、溶接や切断もしていたので、ある程度はできるだろうと独学でやっています。

奥様 農家をしているといろいろなことができるんですよ。空いた時間があれば手を動かしているのでもともと好きなんでしょうね。

ーリノベの際にリクエストしたことは?

ご主人 ものの高さやサイズを妻の身長に合わせてもらいました。

▶︎小柄な奥様が背伸びしなくても届く換気扇。以前の住まいでは「位置が高すぎて届かなかったので、箸を使ってスイッチを押していた」のだそう

 

奥様 私が小柄なので、キッチンの調理台やシンクを少し低めにしてもらって。ウォークインクローゼットのハンガーパイプも低めの位置に付けています。なんでも手が届くようになってうれしいです。それと、キッチンは出し入れがしやすいよう収納扉は設けませんでした。年齢を重ねるにつれて、しまった場所を忘れやすくなると思うので、ひと目でどこに何があるか分かるのは安心ですね。丸見えなので見た目はちょっと良くないかもしれませんが、気に入っています。

▶︎オープンにしたキッチン下にはMUJIの半透明の収納ボックスを配置。少し透けるので、何が入っているか思い出せます

 

ートイレは1階と2階にあるのですね。

奥様 はい、それもリクエストしました。

ご主人 あと、お風呂を1階に設けると寛げるスペースが狭くなるので、2階に上げてもらいました。娘の家と間取りがほぼ同じで、娘たちがお風呂を2階に作っていたのを見て真似しました。

奥様 浴室は引き戸にしたので開閉が軽くて楽です。脱衣スペースとの床の段差もなくしてあります。

広さは北海道の家の約1/3に

ー北海道のお住まいと比べていかがですか?

奥様 ものすごく住みやすくなりました。まだ引っ越して半年経っていませんが、もう何年も住んでいるような気がします。

▶︎2Fにあるベッドルームはゆったりと広めの造り。奥にウォークインクローゼットを設けたので、室内はスッキリ

▶︎奥様の読書灯。この夏に家族で訪れた伊豆のガラス工房で偶然出会ったという大切なものです

 

ご主人 全てがコンパクトになりましたね。広さは3分の1ぐらいになったと思います。

奥様 おかげで、家じゅうを10分かからず掃除機がけできるようになりました。娘がプレゼントしてくれたAmazon Echoに「Alexa、元気の出る洋楽をかけて!」ってお願いして、毎朝音楽を流しながら掃除しています。そういえば、引っ越してすぐの頃、掃除機の音でかき消されてしまうので爆音にしていたら、外に音漏れしていたことがありました(笑)。

ご主人 外にいたら我が家から音楽が聞こえてきてびっくりしました。「音が外に漏れているよ!」って慌てて声をかけて(笑)。

奥様 今は二重サッシにしたから大丈夫です。

▶︎二重サッシは納品が間に合わず、約2ヶ月ほど遅れて取り付けられました。「あるのと無いのとでは快適性が全然違います」

 

ー北海道ならお隣と距離があるので音漏れなんて考えないですよね。

奥様 そうなんです。

ご主人 ただ、お隣の生活音はほとんど気にならないものですね。コンクリートのおかげか、壁1枚隔てるだけでこんなにも静かだとは知りませんでした。

「大丈夫か?」は相当言われた

ー移住について周囲の反対はなかったですか?

奥様 反対というわけではありませんが、たくさんの人から「大丈夫か?」と聞かれました。でも、私たちは上京する気満々で前を向いていたので「なんでそんなに聞かれるのかな」と首をかしげていたくらいで(笑)。心配してくれているからこその言葉なのでありがたく思いますが、隣には主人もいますし、行った先には娘家族もいるので、不安はありませんでした。「健康な体を持っていれば大丈夫だ!」と、後ろは振り向きませんでした。

▶︎ダイニングに飾られている、北海道時代の仕事仲間やご近所の方との記念写真

 

ー見知らぬ土地に対する不安もなかったですか?

奥様 一度訪れて、自分たちの目で確かめているので不安はなかったです。何をするにも一人じゃないから心配したり、深刻に考えたりしなくて済むのかもしれません。

ご主人 深刻には考えないね。「なんとかなる!」と思っています。

まとめ

新たな土地でのさまざまな変化を楽しんでいらっしゃるお二人。大切にしたいことが明確で、家族の強い絆があるからこそ、周囲の声にもブレないのかもしれません。いよいよ最終回となる次回は、北海道の自宅の売却と墓じまいについてです。

>>これからの暮らし方 移住編
#04 生まれ育った 土地の終い方