顔馴染みに出会う公園、常連が集うカフェ、お気に入りのレストラン、行きつけのホテル、仲間と過ごす趣味の場所。そんな、住まいと職場にほど近い距離感にあるサードプレイスも良いですが、コロナ禍でリモートワーク化が進む今、思い切って「地方や郊外にサードプレイスを持つ」のもありなのでは? 例えば、親しい仲間と物件をシェアして使うとか、カフェ付きの滞在型ホテルとか…と、初回からかっとばしたサードプレイス妄想ですが、気ままに旅行にも行けない今、そんな居場所があったら暮らしがもっと豊かになるのでは? ということで、今回は「岬」を舞台にしたサードプレイスを妄想してみました。
え?「岬」?とお思いですよね。なぜ「岬」なのか。都心から1時間程度で行ける気持ちの良い場所を考えていたら、浮かんだのが「岬」でした。今回のサードプレイス妄想の舞台になったのは、千葉県鋸南町元名の岬。実際に売りに出ている物件です(2021年2月5日時点)。場所は、吉永小百合さん主演の2014年の映画「ふしぎな岬の物語」のロケ地エリアにもなった「岬カフェ」のすぐ近く。
このエリアの坪単価を確認すると、坪28万円。最近、仕事でご案内した渋谷区の土地の坪単価は500万円。単純に坪単価で都心の物件と比較するなら、お得に見える坪単価。「岬って買えるんだ!」そんな声が聞こえてきそうですが、不動産の仕事に10年以上従事している私も、岬の売り物件を目にしたのは初めてです。
物件情報には、海と椰子の木の写真。椰子の木越しに夕日が沈むシチュエーション。海を見渡す絶景! 海と夕陽が目の前! なんと、磯釣りとダイビングの隠れた名所でもあるとのこと。20年近く前に取得したダイビングのライセンスがついに役に立つ時が来たかもしれない! と興奮…!
興味がある物件を見つけたら、次はそこでの過ごし方の妄想です。昼間は海風に吹かれながらパソコンに向かい、気分転換に近所を散策。時折、カフェで他の利用者と談笑を交わしたりして過ごし、夕暮れ時は沈む夕日を見ながらコーヒーを飲んで、一日を優雅に締めくくっている自分の姿が浮かんできました。
続いては、どんな空間があったら心地良いかを妄想します。私は、建物や内装をイメージするときはいつも、好みの画像が簡単に検索できる写真共有サービス「pinterest」(ピンタレスト)を使っています。「岬 リゾート カフェ」というキーワードで検索すると、以下のようなイメージが出てきました。今回の岬のご近所にある「岬カフェ」もイメージに載っています。一番左上に出ているイメージは、「幸せのパンケーキ」で有名な淡路島リゾートの写真です。
そうしてPinterestを眺めているうちに、今回見つけた千葉県鋸南町元名の岬にもフォトジェニクなスポットがつくれるかも、と妄想が発展。淡路島リゾートのホームページへと移り、大好きなパンケーキを見ながらワクワクが膨らみます。期間限定の季節のパンケーキはチェックしておきたい。と思ったところで、目的がずれてきていることに気づいて自制、自制…。改めてPinterestを見ると、右下の「大自然を楽しむラグジュアリーなグランピングリゾート」写真もとても気になります。
今回の岬の不動産は、坪単価自体は都心と比べるととても安いのですが、土地がとっても広いので、土地取得だけでも結構な費用がかかります。淡路島リゾートのような素敵な建物をつくれたら楽しいのでしょうが、実際に事業として行う場合の資金計画を考えると、違うプランも想像しなければならないようです…。ふと、現実に連れ戻されるこの瞬間の寂しさ。
気を取り直して周辺環境をチェックしてみると、岬の近くには、鋸山があって、ハイキングコースも充実。なんと、近くにロープウェイもあります。こちらの岬は場所そのものに魅力がある場所なので、建物は建てずに、キャンプ場にするというプランもいいですね。最近は会員制のキャンプ場も増えてきているとか聞くし。あっ! そうだ。友人家族が山を開拓してキャンプ場をつくっていたな。キャンプ場として利用するには何が必要? …とどんどんアイデアが広がって、気づくと夜がすっかり更けていました。インドア派なはずの私がキャンプ場の妄想をするなんて…。岬の魅力、恐るべし。
家でも職場でもない、心地の良い時間を楽しめる場所=大人のサードプレイス。今回の岬の物件を通じて、不動産の数だけ可能性があることを再認識しました。totonoi谷島のサードプレイス妄想、次はどんな居場所を妄想するのでしょう?
(続く)