身体と気持ちの変化に向き合ってみる

40歳を超えたあたりから、自分のいろいろな変化を感じ始めました。例えば、長い時間パソコンに向き合っていると目の焦点が合わなくなってきたなぁ。あれっ!昔みたいに無理を押して仕事ができなくなってきた。仕事のうまいやり方を考えないと、気持ちに身体ががついていけないな。あれっ、白髪が増えてきた。某女優さんみたいにかっこよくシルバーヘアを楽しめたらいいんだけど。うーん、これからどうしましょう!

手がかかっていた子どもたちも、自分のことは自分でできるようになってきて、子ども中心だった暮らしが変化していくことへの期待と、ちょっとした不安。これまで大事にしてきた価値観を、一度見つめ直す必要があるのではないか。totonoiの「生き方を整える。暮らしを遊ぶ」というキャッチコピーの通り、働き方も、暮らし方も、自分自身の「生き方」を、整える時期が訪れたことを感じていたのです。

2020年、私たちの暮らしと生き方が変化する

2020年は、今まで経験したことがない未知のウイルス、新型コロナウイルスの感染拡大により、想像もしていなかった日常が突然やってきました。緊急事態宣言が発令され、私たちの暮らしや生き方は大きな影響を受けました。

ちょっと時代を遡りますが、ちょうど私が社会人生活をスタートさせた2000年は、超・就職氷河期でした。インターネットを使って就活をし始めた世代でもあります。女性は、まだ総合職か一般職を選択しなければいけない時代で、政府が言っている女性活躍推進なんて、本音を言えばちっとも想像できなかったし、10年後も、20年後も働き続けている自分の姿なんて、想像もできませんでした。私は田舎で育ったので、バリバリフルタイムで働いている女性も身近なところにはほとんどおらず、理想とするロールモデルが不在のまま、時代をずっと歩き続けてきたような気がします。

このコロナ禍で、私たちの生き方や価値観は大きく揺さぶられました。しかし、これまでロールモデル不在の時代を、たくさん悩み苦しい思いをしてはきたものの、自分の思うままに我が儘に、自分の生き方を貫いてきたからこその自信もあります。誰かの生き方を参考にしなくても、自分自身の気持ちや好きなモノを信じて向き合ってきたからこそ、これからの時代も、自分の生き方や暮らしは自分でつくり上げることができる、という自信を持っています。

働く環境や暮らしの様式が大きく替わろうとしている、この時代の中で50代へと向かっていくことに、不安がないと言えば嘘になりますが、ワクワクもしています。これからの時代の50代からの生き方、大人の暮らしを豊かにしてくれるモノ、コト、場所。私自身がこれからの生き方を考えていく上で知りたいと思う、先輩世代や同世代たちの生き様のお話や物事を、ここtotonoiでみなさんと共有していきたいと思っています。

シームレスにつながる「暮らす」と「働く」

今、多くの企業でリモートワークがスタートし、これまでは暮らすための場所だった「家」の中に「仕事をする」という新しい役割が入り込んでできました。totonoiやEcoDecoでリノベーションした事例にも、家の中に「働く」という機能が緩やかに溶け込んだ事例が増えてきています。

これまで「暮らす」ためだけの場所だった「家」には、「働く」という新たな役割が求められてきているし、一方、これまで「働く」ための場所であったオフィスは、「働く」ための場所だけではなく、みんなが集まってコミュニケーションを取る場所へと変化をしつつあります。

たまたま出社したスタッフが顔を合わせたり、スタッフみんなが集まる機会を生み出す、貴重なコミュニケーションの場。これからのオフィスは、業務をこなす場所としての機能だけではなく、コミュニケーションを楽しむための場所にシフトしていくだろうと考えています。

「暮らす」と「働く」の境目がだんだんと薄くなってきて、どこにいても、何をしていても、心地よい場所やコミュニティが求められる時代が、もうすぐそこまで来ています。

心地のいい暮らし、生き方に妥協しない

これまで私たちは、自分たちの心地いい環境を、家の中での暮らしに求めてきました。しかし、リモートワークで家にいる時間が長くなったり、ネット環境やネットサービスの充実で、家の中だけでも暮らしが成立したり、誰かとのコミュニケーションも取れる時代になってきたからこそ、「家以外の居場所」も求めるようになるのではと感じています。

totonoiは、これからの50代の「住」をその生き方に合わせて整えることの提案を中心に、大人が心地よいと感じる家以外の居場所、「大人のサードスペース」づくりも行っていきたいと考えています。不動産のプロの視点と大人世代の感性、そして、これまでリノベーション設計で培った知見を生かし、大人世代が自分の暮らしをもっと楽しみ、広げ、深めるための場を、不動産オーナー様や地域の方々とつくり上げていきたい。そして、同じ思いをもった大人たちがが緩やかにつながる場と生き方を提案していきたいと考えています。